2014年10月5日日曜日

DSD256(11.2MHz)を聞こう 第1回:世界中の11.2MHzの音源紹介(無料音源編)

この連載記事を担当する@serierilです。ヴェクセルドミナンテという同人音楽サークルの代表として、昨年末からDSD11.2MHzの音源をリリースしています。ときにはiFi Audioのイベント時(ヘッドフォン祭、ポタフェス等)の製品説明スタッフでもあります。

 自分自身は録音を通じてDSD11.2MHzの魅力に取りつかれていて、日ごろからDSD11.2MHzの情報を調べているので、それを共有できればと思っています。なにかご意見がありましたらTwitterのアカウントまでお願いします。

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 音楽のデジタルフォーマットは1972年に日本コロムビアが開発した最初のデジタルレコーダー(13bit/47.25kHz)から年々着実に進化を重ねてきた。CDの16bit/44.1kHzやDVD-Audioの24bit/192kHz、SACDのDSD 2.8MHzを経て、約40年経った今、時代の最先端はDSD256=11.2MHzでの収録である。
 今まではCDやSACD等といった物理メディアのフォーマットがあったため、より高いサンプリングレート/ビット深度に対応した録音機器が出て録音したとしても、最終的には物理メディアのフォーマットに合わせる必要があった。しかし、ファイルベースで行われるハイレゾ配信では、物理メディアのフォーマットに縛られることなくマスターのフォーマットを直に聞くことができる。

 DSD256(11.2MHz)対応機器はあっても音源がないじゃないかと思われる方は多いと思う。DSD 11.2MHzは2013年に商用録音機器が出たばかりな上に、DSDベースで編集が出来ない※という問題点があり、現在入手可能な音源は確かに少ない。しかし、世界中を探すと無いわけではない。
 手始めに第1回の今回は、無料音源編ということで各レーベルがサンプルとして出しているDSD11.2MHz音源を紹介する。また補遺として、DSD512のアップサンプリング方法やそれに伴うDSDファイルのヘッダの書き換え等もご紹介しようと思う。

※2013年にリリースされたDSD11.2MHzで録音可能なDAWソフト、Merging PyramixはDSDベースで録音はできても編集ができない。編集する場合はDXDに変換し編集した後、DSD 11.2MHzに変換するか、もしくはアナログで出して編集した後、再度DSD 11.2MHzで録音することが多い。

1. Just Listen / Just Listen 1 - compilation  (要Native DSD Musicの会員登録)
 Just ListenはDSDネイティブ音源を配信しているNativeDSDに参加しているレーベルから、代表的なサンプル音源を集めたアルバム。DSD 11.2MHzの音源はトラック1、2、5、6の4曲ある。
 トラック1、2はスペインのEudora Recordsのソル:「ギターのための練習曲」Op.6-9, 同Op.35-22。これら2曲はフェードイン&アウトのみDXDによる編集がなされている。5chサラウンド(フロントLR、センター、リアLR)の音源もある。
 トラック5、6はChannel Classicsのマーラー:交響曲第1番のフィナーレ部分。SACDでもすでに発売済みの音源で、録音時のフォーマットはGrimm AD1によるDSD64(2.8MHz)。トラック5はPyramix、トラック6はHQ Playerによりアップコンバートされている。

2. Nidarosdomens jentekor & TrondheimSolistene / MAGNIFICAT Et misericordia (会員登録の必要あり)
2Lの音源をLH Labsが1曲サンプルとして公開している。元のフォーマットはDXDでPyramixによりDSD11.2MHzにアップコンバートされている。ただし、DSD11.2MHzの音源のみPyramixのデータが入っており再生できないため取り除く必要がある。方法は次回掲載予定の補遺で詳しく説明するつもり。

3. ヴェクセルドミナンテ  (WorksにDSD 11.2MHz[DSD256]のサンプルあり)
 自分自身で手がけた作品なので申し訳ないが、一応無料音源なので、絶好の宣伝機会だと割り切って紹介する。サークル発足当時からホールでの一発録りをしているので、DSD11.2MHzになっても前と変わらない方法で録音している。
 ホールで録音したオリジナルのピアノ曲が2曲、クラリネット+ピアノ曲が2曲、サンプルとして公開中。録音にはElectrArt製DSD 11.2MHz録音機器を使い、曲の切り出し以外は無編集。

4. 1ビットオーディオコンソーシアム  (1bit関連データ[1bit Data]→1ビットアワード受賞作品→2006年"ストラディバリソサエティのバイオリン(クリストフ・バラティ)" 永野桃子, 大場治子)
 早稲田大学,シャープ,パイオニア主催の1ビットオーディオコンソーシアムではバイオリン曲が1曲公開されている。録音にはオリジナルの録音機器を使用。ただし、このデータにはソフトウェアがファイルを認識するためのヘッダデータと呼ばれるデータが抜けているため、自分で補完する必要がある。これも補完方法は補遺編で詳しく説明する。

5. NetAudio誌Vol.15
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND / Visible Invisible
 (雑誌が1300円)
 TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによるDSD 11.2MHz楽曲がNetAudio誌に付録としてついている。ボーカル、ベースがエフェクトを追加するためPCM録音であるものの、他はシンセサイザも含めてオールアナログ。編集にはフォーカスライトの50kHzまでの特性を持ったミキサーをはじめとしたアナログ機器を用いている。記事に詳細なレポートがある。

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