2014年10月7日火曜日

DSD256(11.2MHz)を聞こう 第2回:再生にまつわるアラカルト(WSDほか編・補遺)

 前回の無料音源の紹介に引き続き、今回は「DSD11.2MHzにまつわるアラカルト」ということでDSD11.2MHzファイルを再生する時の疑問を解決していこうと思う。
 
Q1. そもそもDSD11.2MHzってなんですか?DSD256とかQuad-DSDとか別の呼び名があるのはどうして?
A. ⊿Σ(デルタシグマ)変調方式の1bit/11.2896MHzでサンプリングするフォーマットのこと。
 DSD256はCDのサンプリング周波数44.1kHzに対して256倍であることの意。Quad-DSDはSACDのサンプリング周波数2.8224MHzに対して4倍であることの意。つまりDSD11.2MHz、DSD256、Quad-DSDは同じ意味である。
 (ちなみにMicro iDSDとNano iDSDは48kHz系の256倍にも対応している。Micro iDSDは512倍にも。)

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Q2. 1ビットオーディオコンソーシアムのDSD11.2MHz音源を聞きたいんだけど、どうすれば?
A-1. WSD形式は一般的なDSD再生ソフトでは読み取れないので、バイナリエディタでファイルを開いて、以下の文字列を先頭に挿入し、拡張子をdffに変えて保存する。
注:以下、バイナリエディタでの作業はファイルを壊す恐れがあります。必ず音源のバックアップを取ってから自己責任で行ってください。音源が聞けない等の問題が起こっても責任を取れません。

46 52 4D 38 00 00 00 00 3C 70 C8 E0 44 53 44 20 46 56 45 52 00 00 00 00 00 00 00 04 01 04 00 00 50 52 4F 50 00 00 00 00 00 00 00 4A 53 4E 44 20 46 53 20 20 00 00 00 00 00 00 00 04 00 AC 44 00 43 48 4E 4C 00 00 00 00 00 00 00 0A 00 02 53 4C 46 54 53 52 47 54 43 4D 50 52 00 00 00 00 00 00 00 14 44 53 44 20 0E 6E 6F 74 20 63 6F 6D 70 72 65 73 73 65 64 00 44 53 44 20 00 00 00 00 3C 70 C8 6E





ここではバイナリエディタとして「DANDP Binary Editor」を使っている。ただし、DSD256の元ファイルが大きいため、PCのメモリが最低でも6GBないと厳しいので注意。
 また、再生時には非常に大きなポップノイズが入るので、あらかじめボリュームを絞っておいたほうが賢明だろう。
 
A-2. 以下のような手順で理解を進めれば、自分で補完できるようになるはずだ。

WSDのファイルフォーマット形式を理解する
 DSDには現在Sonyが提唱したDSF、PhilipsのDSDIFF、そして1ビットオーディオコンソーシアムのWSDがある。ファイルフォーマットは主に、そのファイルの自体を説明する「ヘッダ」とデータ本体に分けられる。それぞれファイル構造が異なるため、対応しているソフトでないとそれぞれのファイルは再生できない。
 1ビットオーディオコンソーシアムで公開しているDSD11.2MHz音源はWSDフォーマットであるものの、データ本体のみが入っておりヘッダが入っていない。そのため自身で補完する必要がある。補完するためにはWSDのデータ構造を理解する必要があるのだ。
 WSDの仕様書は1ビットオーディオコンソーシアムのサイトで公開されている。
  (1ビットオーディオコンソーシアム→1bit関連データ[1bit Data]→WSDフォーマット[WSDファイル仕様書])
 同様にDSF、DSDIFFの仕様書は以下で参照できる。
 

また、筆者の個人的なブログで書いた記事も参考になるかもしれない。


 
WSDとDSDIFFのデータ本体のフォーマットが同じであると気づく!
 WSDに対応している再生ソフトは少ない。そのため、本来であれば再生するためにはWSDのヘッダデータを入れ、WSD対応のDSD変換ソフトに読み込ませ、DSDIFFやDSFで書き出す必要がある。(更に言えばWSD対応のDSD変換ソフトはKORG AudioGateしかなく、AudioGateはDSD5.6MHzまでしか対応していないため、DSD11.2MHzではなくDSD5.6MHzのヘッダデータを入れ、書き出したあと再度DSD11.2MHzのヘッダデータを入れる必要がある。)
 しかし、各ファイルフォーマットの構造を見ると、データ本体の構造がDSDIFFとWSDでは、Big endian方式の各Ch1バイト毎で同じと気づくはずだ。つまり、DSDIFFのヘッダデータを入れればDSDIFFとして扱えるということだ。

DSDIFFのヘッダデータを書き込む
 A1を参考に書き込めばDSD11.2MHzのDSDIFFファイルとして扱えるようになる。

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Q3. LH Labsで公開されている2LのDSD11.2MHzの音源を聞きたいんだけど、どうすればいい?
A.以下のようにバイナリエディタで、先頭からアドレス71Eまでヘッダデータを削除すれば再生できる。








以下のようになればOK。




以上、いったい何を言ってるのかわからないという人は試さない方がいい。お気をつけ下さい。


2 件のコメント:

  1. こちらの方法は、同じく1bitコンソーシアムの5.6MHz、2.8MHzの方にも適用可能でしょうか?バイナリ見る感じ若干違いがあるようなのですが…

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  2. お問い合わせありがとうございます。本記事を執筆したせりえりるです。

    この方法は、1bitオーディオコンソーシアムで公開されている11.2MHzファイル(”2006_nagano_ohba.wsd”)にしか適用できません。
    他のファイルでは、構造が異なっており、また別の編集が必要になります。

    以上、よろしくお願いします。

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